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第3回 奥志賀高原 経営改革セミナー「倉重英樹塾」 レポート
(2010年7月3日(土)-4日(日)

第3回 奥志賀高原 経営改革セミナー「倉重英樹塾」

主 催: 奥志賀リゾート/ベルサルームズ
共 催: ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)
グランフェニックス ホテルグランフェニックス奥志賀
プログラム: テーマ: 楽しく働き、希望の湧く未来につなぐ
■ 7月3日(土)
  • 森の音楽堂にて講演会と参加者とのディスカッション
    講師: 高野 登氏(人とホスピタリティ研究所所長)

    倉重英樹氏(BPIA会長)んによる講演(森の音楽堂)
  • パーティ(ホテル・グランフェニックス)
  • 二次会
■ 7月4日(日)
 朝食後解散。希望者はゴルフ、ハイキングコースへ

7月3日-4日、奥志賀リゾート/ベルサルームズホテル主催、ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)共催で、倉重英樹塾が今年も盛況に開催された。本イベントの企画者でBPIA会員の小田毘古氏に当日の様子や講演のサマリーを報告いただいた。




BPIA会員・小田 毘古(ワークプレイス・リサーチ・センタ代表)

毎年、信州の奥志賀高原で、BPIA共催で「高原のセミナー“倉重英樹塾”」を開催しています。今年も7月3日土曜日に、約90名もの人が奥志賀のホテルに集まりました。講師はBPIA会長の倉重英樹さん、ゲストはリッツカールトンの日本支社長を務められ、“サービスを超える瞬間”のベストセラーで著名な高野登さん。約3時間半の講義、討議のあと、パーティ、二次会と夜遅くまで講師と一緒に団欒が続き、翌日はゴルフやハイキングのオプションもありました。東京では決して味わえない合宿形式のセミナーで、今年は三回目となりました。BPIA会員の参加も年々増えています。
今年のテーマは「楽しく働き、明日に希望をもつ」です。

小田氏プロファイル


倉重氏と高野氏

高野さんの話の要点。

高野 氏

メッカの方角はどっち?

ホテルにはいろいろな国の方が泊られる。イスラム系のお客にとって重要なのは、「メッカの方角はどちらか」です。リッツカールトンのどの国のホテルでも、客室の机の中に“⇒”の紙が貼られているのです。その方向に向かって礼拝が欠かせないからです。日本系のホテルにはありません。
「いろいろな体験をして、いろいろな景色を見て、世界にはいろいろな価値観があることを理解する」が、とても重要であり、グローバル化が進んでいる今、さらに大切になるでしょう。

“足元が動く”サーフィン

サーフィンが他のスポーツとの決定的な違いは「足元が動く」ことです。自分の意志ではどうにもならない状態で体をコントロールすることが求められます。波に呑み込まれることも頻繁に起こります。ビジネスに当てはめると、リーマンショックで大量にキャンセルが出たり、毎日、予想だにしなかった危機が訪れたりしました。
そこで大切なのは船のイカリに相当する企業経営の理念です。“ぶれず、ひるまず”サーフィン状態を乗り越えていかねばなりません。
そして今までとは違った視点から、進むべき景色を変えていく発想が必要です。パラダイムシフトを簡単に定義すると「目の前の景色を変える」ということではないでしょうか。

会社が人生の品質を決めてしまう

日本人は“会社での仕事のQuality=人生のQuality” になってしまいがちです。
会社がすべてという発想から、「自分は何をするために存在しているか」、「あなたのひと言で助かった」など、“人のために何ができるか”という立ち位置で人生を考える方向に、会社で働くとしても、変えていくことが重要です。これはホスピタリティにもつながるのです。リッツカールトンの社員は持ち場が違っていても、クレド(信条)で感性のトレーニングを欠かしません。ですから、自立し、誇りを持って、“お客様にベストなサービス”を、どんな場面でも提供できるのです。

サービスを超える瞬間

ホテルでも他の企業でも、チームワークで仕事をすることが求められます。
チームワークとは「お互いの価値観がひとつで、みんなの心が共鳴して行動する」ということではないでしょうか。
「理念に共鳴する人を感性のトレーニングで磨き上げ、仲間を信頼し、価値観を共有して、チームワークで人のために行動する」ことによって、新たな価値が生まれ、“サービスを超える瞬間”につながるのではないでしょうか。

倉重さんの話の要点。

倉重 氏

モチベーション3.0

“モチベーション3.0”という言葉があります。
モチベーション1.0(食べる、眠るなどの生存維持のために働く)→モチベーション2.0(与えられた目標達成のために働き、金銭や名誉を獲得する)→モチベーション3.0(自発的な動機で理念、専門性を磨き、自己実現を達成する)のステップで自分のレベルアップが必要です。知識社会の時代にはモチベーション3.0の人材が必要です。
「楽」という字は、「らく」とも「たのしい」とも読めます。仕事の上では“らく”を選んだら、楽しくありません。“楽しい”を選んだら、らくではありません。
自己実現を図るということは、“能力をパフォーマンス(成果)に変える”ことですから、決してらくではないでしょう。

自己実現への投資

モチベーション3.0とは、「やるべきこと」から「やりたいこと」に変えていくことです。つまり「できること」の領域を広げていくことです。
そのためには、コラボレーションによって共鳴を起こし、目標を共有したり、活動を同軌したりのチームワークも大切です。いろいろな仲間とネットワークを構築することは、自己実現には効果があるでしょう。自分への投資の時間を「学習」、「ネットワーク構築」、「趣味」にバランスよく使うことが、これからの人には求められます。

ビジネスはデジタル、ライフはアナログ

ビジネスは情報化が進みさらにスピードを求められています。反対にライフは、もう少しゆったりしたい、のんびりしたいと逆の方向です。人間の心の問題はデジタルでは解決しません。そのためには、人との、自然との、文化とのかかわりあいの時間が、より有効となるでしょう。まずライフがあって、次にワークがあると私は考えています。その視点に立って、「空いた時間で仕事をする」、「仕事の仕方を変える」方向にチャレンジし、週末が楽しくなるような生き方に変えていく必要があります。

生き方を変える三つの要素と勇気

しかし生き方を変えるということは簡単ではありません。「何をなすべきか」は分かっていても、実行するには強い決意が必要です。
そして成功するには、「情熱(成し遂げたいという欲求、勢い、決意)」、「人への関心(相手への気遣い)」、「原則(自ら信ずることにぶれず行動することが人からの信頼原点)」の三つの要素が必要です。
同時に三つの勇気も持ち合わせることが求められます。
「人を信じる勇気」、「リスクを取る勇気」、「自分をオープンにする勇気」。
信頼することによって相互理解、チームワークで得るものが多くなるでしょうし、失敗を恐れず何事にも挑戦し、批判も受け入れ、自分を理解してもらうことによって、モチベーション3.0の自分に成長するのです。

21世紀は「人財」の時代

倉重さんがおわりにまとめられた五つのキーワードは、高野さんの話と共通性が多いのです。左のワードが倉重さんのまとめ、右が高野さんの言葉です。

  1. リーダーシップ = “ぶれず、ひるまず” 企業経営の理念
  2. イノベーション =“パラダイムシフトは「目の前の景色を変える」こと”
  3. ダイバーシティ =“いろいろな価値観があることを理解する”
  4. コラボレーション=“お互いの価値観がひとつで、みんなの心が共鳴して行動する”
  5. ライフワークバランス=”会社での仕事のQuality=人生のQuality” になってしまいがち

今の日本の閉塞感を打破し「楽しく働き、明日に希望をもつ」ためには、働く環境を自ら積極的に変えていくことが求められ、この五つの要素が大切であることを、視点と表現がちがうものの、いみじくもお二人は強調されていました。
ぶれず、ひるまず、信念を持って、自己革新に務めれば、21世紀に欠かせない「人財」に成長していくことでしょう。

参加者の声

三段の滝で

「一週間たちましたが、本当に夢のような時間だったなと振り返っています。写真をみてまた一層気持ちがわきあがってきました。この一週間は仕事にもプライベートにもモチベーション高く過ごすことができました。勇気をだして参加してよかったと、改めて思います。」 (T.S.さん)

「奥志賀は、まことに刺激的な体験でした。大阪から460q走った甲斐がありました。途中のトラブルも吹き飛びました。高原の清清しさと呼応するかのような人々の素直な意見交換と人脈気脈の交流を実感いたしました」 (H.I.さん)

「セミナーは、なかなかレベルの高い内容で共感する部分が多かったです。また翌日の天候もときどき小雨程度で、十分GOLFを楽しめました。」 (Y.M.さん)

「この2日間、小生自身、とても充実した2日間となりました。多くの方々とお話させていただき、心に響く言葉や知らない世界を教えていただきました。そして何よりもあの場所だから味わえる“おいしい空気”。体がぴんとなるようなすがすがしい気持ちで帰路につきました。改めて時間は自分で作るもの。触れようとすれば世界はいつでもそばに広がっている、ということを改めて感じました。」  (R.Y.さん)

「すばらしい企画に参加させていただき、ありがとうございました。高野さん、倉重さんのご講演は意義深く、新しいネットワークも広がり、翌日の雨の奥志賀秘境散策も楽しかったです」 (Y.I.さん)

「昨年に引き続き、多くの方から気づきを得ることが出来ました。モチベーションアップや、今後の人生、キャリアを改めて考えるとてもよい機会となりました。やりたいことを探しつつも、やるべきことに集中しよう思います!」 (S.W.さん)

「初日のセミナー&パーティーでポジティブな方々との交流で元気をいただき、二日目のハイキングでは日本美に触れ、雨にもかかわらず気持ちもスッキリしました。一緒に参加したメンバーも最高でしたが、グランフェニックスのスタッフ皆様の一流のおもてなし・お気遣いで、より気持ち良く滞在することが出来たことも感謝しております。」 (R.A.さん)

「田舎暮らしに慣れてしまっておりますが、刺激になるお話を聞くことができて、楽しかったです。」 (S.T.さん)




小田 毘古 (おだ・ひこ) プロフィール
早稲田大学第一商学部卒業。日本ヒューレット・パッカード(株)で不動産部長、ワークプレイス・ソリューション部門長を、2001年まで12年間歴任。この間、オフィス改革に取り組み、通産大臣賞を含む日経ニューオフィス賞を5回受賞。現在はワークプレイス・リサーチ・センタ代表を務めるとともに、BPIA(ビジネスプロセス革新協議会)の「働き方改革研究会」で中心的に活動中。(社)日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)の前ベンチマークデータセンター長。