| テーマ: | 物の売れない時代のマーケティングの実践的アドバイス |
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| 日 時: | 2010年1月26日(火)16:00〜18:00 |
| 場 所: | アーク情報システム |
| 講 師: | 林 俊介 氏
株式会社リオプラス 代表取締役社長
田宮信一郎 氏
株式会社リオプラス コンサルタント
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本日、系統だった話はできそうにありませんが、ご了承いただきたいと思います。
私達のリオプラスは、営業支援を得意とするコンサルティング・グループです。三菱商事、大手メーカー、IT企業等の要職経験者からなるコンサルタント一人一人が仕事をしていくときのプラットフォームです。各自の任意で、そのときどきでコンサルタントの組み合わせとコラボレーションが生まれます。特に、ビジネスマッチングは当社の中心的な業務になっています。
私の経歴ということですと、根っからの商社マンであります。鉄を細かく刻んだものを売る仕事をしていました。24年ほど海外におりました。多くはブラジルやスペインで、一人で売るしかなかったのです。ここ10年、中小企業の営業支援をしてまいりました。いろいろな相談を受けて、100社以上のコンサルティングを行なってきました。
今日、現場では相当大変なことになっております。よくあるケースは、若い人が自社の商品を説明すると、30分のうち25分は、この商品はこんなにいいですと話すのです。そんなことよりも、お客さんはコストとメリットは何かを聞きたがっているはずです。営業マンがお客様に、コストとメリット、それから他のお客様の評判を話せば、だいぶ違うのに、なかなか若い人は言えないのです。これを支援する課長さん部長さん達も自分達で実際に営業する訳でないので、うまくやらせようにもなかなか成功に至りません。私は想定問答集を作ればいいと言っているのです。先輩に聞けば、すぐ作れるはずです。予習していけばいいのです。
特に、中小企業の場合、お客様の要望との齟齬があることが多いのです。完成品でなくて、ツールを売りたい会社の場合、完成品を売る会社に出かけて行ってツールの話をしても相手のニーズには合わない。銅合金の素材を売る会社があります。金型の熱伝導が良くなって、金型ユーザーの生産性が大いに上がる素材です。この場合、単に金型メーカーを訪問して売り込むだけでなく、その先の金型ユーザーを訪問してうちのモノを金型に組み込んでみたらどうかという提案型の売り方をする必要があります。
例えば、営業マンが飛び込みで購買部に売りに行っても門前払いが多いでしょう。購買部にはしがらみがありますから新規の取引については、窓口で大抵断られます。こういう「虫の目営業」では無理な場合があります。その場合、「鳥の目営業」、すなわちトップがトップに話をして、下におろしてもらわないといけません。営業マンに営業の全てを委ねると失敗で終わることになります。トップからの営業が重要です。
今までは受身の営業が多かったですね。注文があって納期に間に合わせることだけでよかったのです。しかし、いまはターゲットを絞って、歩留まりが悪くても売りに出かける必要がある時代です。黙っていても注文が来るどころか、中国に取られたり、ますます受身営業ではダメになってきています。
最近の営業では、コンタクト方法がメールか電話が中心で、出かけていく、また手書きの手紙を出す、と言うことが忘れられています。ある女性は、会いたい相手がいたら、その周囲を調べて、手書きの手紙を出すそうです。評判を聞きました、お会いしたいという内容の手紙です。こうすると歩留まりがとても良いそうです。トヨタのセールスマンも、はじめに会ったときには、家族構成を聞いて、お孫さんの話からはじめて、それでは保育園が大変でしょうというふうに、相手の興味からはいるそうです。 「商い」という言葉は、「飽きない」に通ずるとも言います。何回もやれと言うことです。ただし、コンタクトの仕方は毎回変えなくてはいけないのです。
いま国内で販売は飽和状態でかなり厳しい状況です。日本の中産階級が3000万人くらいいるとすると、同じくらいの収入、年収300万から500万円の人が、中国の沿岸部には9000万人いて、それが急拡大しているのですから、3000万人だけを対象にしていてもダメでしょう。中小企業は特に、グローバルマーケットを視野におかないと、どうにもならない時代です。また、新しいマーケット、特に海外市場の場合は、部下に調べさせるのではなく、トップ自ら現地に赴き肌で感じることが重要です。トップがグローバルな視点で見なくてはいけない。
輸出ですが、米国などの展示会で悪質代理店に引っかかり、あとで代理店契約解消に巨額の違約金を取られるケースが頻発しています。我々はまずインターネットで見込み客を何軒かピンポイントして、コンタクトしたあとで、誰かに接触させる方法をやって実績もあります。見込み客を自分で探す努力が必要でこれを実践しています。
かつて三菱商事にいて、いまベンチャーキャピタルをやっている知人がいます。その人がキーワードは一つだといいます。「若い人はしつこくない。だから、しつこくさせるにはどうしたら良いかを考えることだ。」というのです。年配の人間はハングリーの中で生きてきましたが、今後は、手取り足取り、マニュアルを作ることが大事かもしれません。
私は、三菱商事に40年近くいて、15年は海外勤務で欧米におりました。1968年の入社時でも、すでに商社斜陽論が出てきていましたが、中学から大学まで外国人との接点があったので、海外での仕事にあこがれ商社を選びました。しかし、入社後に配属されたのは、国内の建設会社へコンクリートパイル(基礎の杭)を売る建設部門でした。
さて、今日は13個のキーワードに基づいて、その後の私の経験をご紹介しながら、お話したいと思います。
30年以上前ですが、会社から米国のビジネススクールに行かせてもらってマーケティングを学びました。当時学んだことは既に古びたものになってますが、物を売らなくてはいけないとき、頭の整理の為に常に想起するのはそのとき習った4P's です。
最初のPはプロダクトです。性能や差別化要素、品揃え、製品のライフサイクル上の可能性といったことを考えます。
つぎのPはプライスです。これは、単にコストにマージンを上乗せしたものではなくて、競合他社との関係などを考慮した戦略的価格のことです。
3番目のPはプレイスです。市場や流通、即ち販売チャネル、物流、市場セグメント、つまり、人口、性別、年齢、国民性、ニーズ等々で区分けした対象市場に有効な製品をぶつけていくということです。
4番目のPはプロモーションで、直訳すれば販売促進ですが、広告・宣伝・PRといったものもさることながら、販売力、即ち販売担当の育成・訓練、営業組織をどうするか等が重要な要素です。
今日は、本会のコーディネイターの方からのご要望に沿って、「営業販売担当 がどう すればいいのか」という点に重点を置いて、私の商社での経験、学んだことに 基ついてお話をしたいと思います。
直ぐに海外に雄飛出来ると思っていた私も、国内で「現場」に関わったことが、その後の貴重な財産になったと思っています。建設会社への基礎杭の売り込みですから、その時期の現場は泥んこで、長靴を履いて建設事務所に請求書を持って行きました。そうすると主任さんが、今月は予算がないので支払いは来月回しだと言うので、会社に帰って報告すると上司から怒られます。仕方ないので、また建設事務所へ戻りますが、そこでは、いきなり請求の話題は出さずに、いろいろ考えた話題、たとえば野球やゴルフの話、女性の話からはじめて、気持ちが通じ合ったところでおもむろに、今月の支払をお願いすると、しょうがないと言われながら検収印を押してくれて、それを経理に持っていって入金手続きをとってくると上司から褒められるのです。男芸者のようです。
今では少ないと思いますが、夜討ち朝駆けもしました。大学の同級生の親が大手建設会社の専務だったので、アポイントをとってもらって、メーカーの担当者と一緒に高級な酒を持って自宅に押し掛けて営業しこともあります。おかげで何とか契約に至りました。契約を取りたいという熱意があれば、やれる範囲内で最善を尽くすべべきだと思います。最近の若い人の多くは、そこまで燃え上がらないのです。どうも、古いタイプの方が本質なのではないか、という気がします。売れない売れないと言っても誰かはうまく売っている訳で、一生懸命熱意を持って知恵を絞ってやっている人がやはり売っているのではないでしょうか。
その後希望がかなって建設関係の海外部門に移りました。いまのお金だと何兆円にもなる建設工事のプロジェクトでした。仮契約の後の石油ショックで結局は落札できませんでしたが、そのときの上司の厳しい指導は血と肉になりました。これだけのプロジェクトは一つの部ではとても済みません。6大商社、ゼネコン、車両メーカーなどの日本連合でした。こういうとき社内外の、関係先と常に連絡を取って、情報提供・共有をしておく必要があります。日頃から理解を得るよう努力しておかないと、いざというときに迅速な意思決定ができないのです。廊下トンビというのは、自分の席にいないであちこちに行ってというネガティブなニュアンスがありますが、各部署に行って、問題点の説明をしたり、協力を仰いで置くことが大切です。 「報・連・相」とよく言います。報告、連絡、相談をしないで、いきなり上司の了解を取るのは困難です。常日頃、上司・関係先に状況を報告、連絡、相談しておく必要があります。
以前はテレックスが海外との通信手段でした。テレックス原稿を上にあげると、ブルーの用紙が真っ赤になってきます。通信コストがかかることもありますが、超多忙な相手に、的確に意思を伝えるためには、短く簡潔に書かないとダメなので、徹底的に修正・指導されました。そのときの経験から箇条書き簡潔な文章にする習慣がつきました。さらに、テレックス・書類のコピーを情報共有の為に誰に落とすべきか、出すべきところと出すべきでないところをしっかり考えるよう厳しく言われたものです。
ロイヤルサルートというのは高級ウイスキーです。この人には、このお酒でないといけないというものがありました。お客様が海外にやってくるとき、その方のお酒の好みから、趣味など事細かに調べておくことは大切なことです。せっかくいらっしゃるのですから、この機会を大事にすべきです。
その後の米国留学から帰って魚の商売に転じることになりました。現場に行って、魚の匂いをかぎ魚に触って自分の扱う製品の理解に努めました。商品を知ることが大事なのです。その後シアトル及びロンドンでの海外駐在を経験しました。 日本人は欧米人に比し体の大きさや言葉のハンディがあって卑屈になりがちです。しかし、堂々と胸を張っていなくてはいけません。日系人の人がジョークで、3ヶ国語しゃべれるとバイリンガル、2ヶ国語だとモノリンガル、1カ国語しかしゃべれないのはアメリカンと言ってました。日本語を話す上に、下手でも何でも英語をしゃべるのですから、不自由があっても堂々としていればいいのです。英語は、文法の時制だとか三人称のsも大事ですが、それをあまり気にするより、発音・アクセントをしっかりすれば言葉を並べれば通じます。そのほうが大切です。カタカナ発音では通じません。特に日本人が弱い子音の発音とアクセントをしっかりと磨くべきです。
それから、欧米の現地社員は業務範囲をしっかり決めたがりますが、日本人は阿吽の呼吸で仕事をします。欧米人と日本人の良いところを互いに取り入れる方がよいでしょう。欧米人の部下が「一生懸命やりましたがダメでした」というので、「そこを何とか」という日本語を教えたことがありました。
以下、三菱商事を退職後営業支援コンサルティングを始めてから気がつく点をお話しします。企画書・提案書等で、相手の担当者にしかわからない言葉を入れてしまうと、検討の段になってその書類が上にあがったときに理解してもらえない場合があります。そうした状況を想定して、誰にもわかる言葉を使っておく配慮が必要です。これが効率的営業になります。また上の人ほど忙しいので、理解してもらうためには簡潔にしなくてはならない。結論を先に出して、「結起承転」にした方がいいのです。たとえば、テスト結果の報告をお客さんに出す場合に、1頁にテストの目的、2ページにテストの手法、3頁にデータ、4ページに結論という例が多いのです。しかし、結論が先に来ないと、ビジネスの世界では通用しないのです。
ほとんどの弊社クライアントが競合他社製品との比較データ、差別化要素等を顧客に出したがりません。又、交渉の早い段階で価格メドを出したがりません。これは、それらのデータに付き他社からの追及を受けかねない、あるいは価格に縛られるという恐怖があるためです。そういう場合に、※印をつけて、「比較データは当社がxx検査協会に依頼したもの」とか「価格は現場条件等で変わる」等の付記をしておけば、縛られることはなく、然も顧客の一番知りたがっている差別化要素、価格メドを伝えることができます。この方が親切です。 たとえば、鉄道の人身事故の場合、駅員に聞くと、めどが立たないと言うばかりです。しかし、事故はいつ起きた、通常だと事故処理・復旧に平均これくらいかかる、「但し勿論場合によることをご了承下さい」といえば、乗客は自分の判断でそのまま待つか迂回路を選ぶかの対応策が立てられる。お客さんが知りたい情報を提供することが肝要です。但し書きをつけて出すことがお客様サービスになるのです。誤解を生みそうなときは、※印をつけて出せばいいのです。
客先に5、6人で営業に行き、お客さん側は1人2人ということがあります。お客さんもコスト意識がありますから、暇だな、無駄があるなと思われてしまいます。合理的にやっていることを示さなくてはなりません。 また、IT関係者を客先に紹介することがありましたが、相手の役員に会うのに、アロハシャツということがありました。これはまずいでしょう。身だしなみで損をすることになります。
想定問答集については、林さんの話がありましたので省略します。
それから、プレゼンなどで話をするときに、最初にポイントは3つあります、というように話すとわかりやすい。聞く方が全部でいくつポイントがあるのかわかっていると聞きやすくなります。
相手の出席者が2人だと知って、2部しか資料を持っていかないと、他の部署 の人が急遽同席するケースも度々あります。配布資料のコピーなどは高いものではありませんから、ケチらないことです。余ったら、上司の人にお渡しくださいというくらいの方が良いでしょう。もう一つは、スライドを使った発表です。これは案外、相手に見えてないものです。半分くらいしか見られてないのではないでしょうか。きっちり書類の形にして渡して話すほうが良いでしょう。そのほうが記憶に残ると思います。
客先担当者の人事異動は危険な兆候といえます。いいところまで話が行っていながら、人事異動になると、相手側の引継ぎがうまく行ってないことがあります。大事な引継ぎがないがしろになった場合に、前任者から聞いているでしょうと相手に期待してはダメです。売り込む側に、前任者レベルに戻す責任があると思わなくちゃいけないのです。先ほど虫の目、鳥の目という言い方が出ましたが、私は地上戦と空爆と言っています。担当者同士で会うだけでは不十分な場合、社長・専務のトップの方からも営業すべき です。
最後に、誠意と熱意ということになります。窮すれば何とかしようと知恵を働かせるものです。マーケティングの起源については様々に言われてます。今のように体系化されたのは1929年に大恐慌が起きた際、モノがまったく売れ ない時代に血のにじむ努力と知恵をもって売る術を考え出した人達が築き上げたもの といわれています。お客様のかゆいところに手が届くように考え、行動すれば、売れる道が開けてくるように思います。以上申し上げたことは、本会の趣旨である新しいビジネスモデルを考えるとい うことでなく、むしろ古いモデルをお話ししてしまった様ですが、意外にこれが最近 失われつつあるというう意味で、改めて求められている本質であると言えるかもしれ ません。
◎株式会社リオプラス
http://www.rioplus.jp
◎林俊介プロフィール
◎田宮信一郎プロフィール
記録者 丸山有彦