はじめに:あなたのオフィスデジタル化度は?
各企業ともに、置かれている経営環境や現状が異なりひとつの方法論で区切ることはできませんので、今日は各企業に必要なキーポイントを中心にお話ししたいと思います。
まず、皆様に4つのクエスチョンを出させていただきます。皆様の企業におきまして、オフィスのデジタル化はどれくらい進んでいるでしょうか。
会議前、大量コピーをするのに、てんてこ舞いしていませんか。
会議中、出席者は、説明とは違うページを読んでいませんか。
会議中、必要な情報が直ぐに手に入らず、イライラしませんか。
会議後、議事録を完成するのに、何日もかかっていませんか。
これらすべて私には経験がありますが、PwCCでは現在では基本的にこのようなことは解消されています。
実現ポイント
デジタルオフィスを実現するには、社員の側からと経営者の側からの両面から考えていく必要があります。
社員の側から見れば、社員全員の仕事のやり方が変わるので、企業変革に値すると言っていいでしょう。ひとつは「内からの変革」で、社員がビジョンに共感し、自分から変革していくスタイルです。もうひとつは、「外からの変革」で、モバイル化など経営者が環境を変えていく方法です。「内からの変革」も「外からの変革」も、経営者が変革へのリーダーシップをとることが重要です。
インターネット・デジタルの特徴
変革のアプローチでは、まず現状の把握をし、変革・目的・ゴールの決定し、その後、メリットを明示し、最後にステップの決定し、各企業の現状に合わせて決めていきます。では、具体的に各企業はそれをどのように作って いけばよいのでしょうか。
それには、まず各企業がデジタルオフィスの定義を明確にすることです。われわれは、デジタルオフィスとは「デジタル+オープンネットワーク」を活用し「必要な情報」を「速く、自由にやりとり」出来るようにすることによって、「企業競争力の向上」を目指すオフィスと定義をしていますが、ここでキーとなるのはデジタルとインターネットです。
インターネットの特徴は、速くて安いことです。はがき一枚を郵便で送ると50円かかりますが、それと同じ2千文字ほどをメールで送るにはわずか10円ですんでしまう。
デジタルの特徴は、情報を再活用することによって、複製が何度でもでき、情報の検索をしやすくすることです。
デジタルオフィスの目的
次に情報のやりとりでは、情報を作り出し「加工」し「保存」し「流通」させ、関係者に「閲覧」させます。紙ベースでは、加工は全て紙の上でやりますし、ファイル保存には保管スペースが必要になるのでそれぞれコストがかかります。その後、流通でも郵便代やファックス代がかかります。これをデジタル化すると、流れが一貫しスムーズになっていくのです。
社員のメリット〜ワークスタイルの変化
社員のメリットとしては、仕事のスタイルが変わってきます。作業はパソコンで、ミーティングはスクリーンでとなると、ワークスタイルは当然変わります。
従来までの会議前の大量コピーは、プロジェクターの使用により不要になります。また会議中は、社員はスクリーンに集中し、情報がネットワークにつながりデータベースに気軽にアクセスできるので、会議の品質も向上し、意思決定も早くなります。会議後は、会議中に議事録を作成しますので、会議が終わった時点で関係者に電子メールで送るなど、実際のアクションがすぐ取ることができます。
以上のように、社員の生産性は、使い方によって非常に効果的です。
経営社のメリット〜PwCCの事例
経営者側のメリットの一つ目は、紙のコストが下がり、弊社の実績で1993年に年間で社員1人あたり1600枚の紙使用がデジタルオフィス化により、年間で80枚くらいに押さえることができました。これは年間で計算すると約2500万枚の紙のセービングです。紙関連コストには、紙そのもののコストのほか、コピー・印刷費・人件費・ストック・物流・廃棄代もあります。このように紙一枚あたりコストは最低10円かかるですが、弊社の場合、年間で2億5千万円のコスト削減になりました。
メリットの二つ目は、インフラの費用が安くなることです。コンサルタントの企業インフラは、IT、スペース、通信、紙の4つです。93年はまだ、デジタル化を図る前で、1人あたり230万円かかっていました。95年に実際にデジタルオフィス化を始めた時は1人一台パソコンを導入し、IT費用は一気に増えましたが、図書館をなくしたことで、スペースや紙が減りました。
さらに、社員1人一台のPHSを持たせ、モバイル環境を実現させたことで、社員は必ずしもオフィスにいる必要がなくなり、仕事は家でもホテルでもできるようになりました。こうして、スペースも減り、紙も減りました。
つまりは、デジタルにインフラを特化させると、放っておいても下がるコスト構造になることがお分かりいただけるかと思います。今後は通信費も下がり、IT費用も下がっていき、全体としてコストが下がっていくでしょう。
実現ステップ
実際にデジタルオフィスを実現していくためには、二つの変革があります。
ひとつはビジネスプロセスの変革で、もうひとつは、社員のワークスタイルの変革です。ビジネスプロセスの変革では、バリューチェインにあたる「コアプロセス」の部分と、旅費清算や経費清算にあたる「非コアプロセス」
の部分があります。そのプロセスをITによってデジタル化をしていくことになります。
ワークスタイルの変革には、「内から来る変革」と「外から来る変革」の2通りがあります。「外から来る変革」としては、一つ目には、パソコンとプロジェクターを使って会議をし、ペーパーレスで仕事する環境をつくり、二つ目には、モバイルオフィス「どこでもオフィス」を作りました。そして、三つ目には、会社内を自由席にし、フリーアドレスにすることです。その結果、社員はロッカーを持たないので帰るときに書類を全て片付けなくてならなくなり、紙使用量は一気に減りました。
「内から来る変革」では、ビジョンを示して自発的に変わることであり、人事制度や組織文化、場合によっては企業の置かれている経営環境が、変革を左右します。
これまでペーパーレス化・デジタル化というと、モバイルオフィスやペーパーレス環境・経費清算のデジタル化などが議論されてきましたが、それだけでは決してデジタルオフィスは実現しません。一人のIT部長や一人の総務部長だけではできず、全体としての経営者のリーダーシップが重要です。
ステップとしては、先ず、内からの変化を起こし、それから外からの変化として、ペーパーレス環境やモバイルオフィスなどを作り、それからコアプロセスのデジタル化を図る順番があるのではないかと思います。
人財インフラの構築
最終的には人財インフラをつくっていかなければならないと思っています。経営者は企業価値を上げていきたいし、社員は自らの満足度を高めていきたい。社員満足度が関与するのは、もはや給料の額ではなく、仕事のやりがいや自己実現です。
すると、それに合わせた「人財インフラ」を構築していく必要があります。従来それはイコール組織であり、それから人事の配置や育成・評価・報酬までが、人材のいわゆるインフラでした。
しかし、今後は社員のやる気を出し賢くするインフラを作っていく必要がありますから、情報システムやオフィス ファシリィティやナレッジマネージメントもインフラのひとつとして、考えていく必要があると思います。そこが正にデジタルオフィスにあたります。
性善説を信じるならば、「人財インフラ」を整えることによって、社員はやる気になり仕事をすることで結果として企業価値を上げることになります。その結果、社員と経営者は、ともにWIN-WINの関係になることができると思います。