BPIA総会・講演会・研究発表会

日 時: 2000年11月8日(水)



<Contents>



■ BPIA講演会

基調講演
「価値創造型企業を目指したBPIへの挑戦」

BPIA常務理事
  関 隆明氏
(NECソフト株式会社 代表取締役社長)

はじめに

 今年、当社のマーケットブランドとしてVALWAYを掲げました。これはバリューとウェイを合成したものですが、お客様の価値創造に役立つ道を追求するという願いを込めたものです。当社はSI、システムサービス、ソフト開発がメインジョブですが、これらを通していかにお客様の価値を高めることに貢献できるかという努力をしています。最近ASPといわれますが、当社ではSI&ASと呼んで、One to One ASP、個々のお客様に対応することを重視しております。  ここ数年、21世紀までにスリムな筋肉質の会社になるために、役員クラスをリーダーに部会を立ち上げ、全社挙げて経営革新活動に取り組んできました。私も戦略立案の部会のリーダーを務めてきましたが、今日はプロセスマネジメント部会で取り上げたものを中心にお話ししたいと思います

マトリックス型組織

 高度化、多様化するお客様の要求にダイナミックに対応するために、階層型組織を変えなければいけないということはよくいわれます。当社としては各メンバーの専門性を生かすためにマトリックス型の体制づくりに取り組みました。SI事業は業界ごとの事業部編成に加え、テーマ軸ごとのビジネスソリューション、ITソリューション、パーソナルソリューションという横断的な編成にしています。事業部は、従来の管理職から専門職への転向を促進し、機能別編成により組織をフラット化しています。そしてプロジェクトが発生するたびに、プロジェクトリーダーを決め、必要な人間を抽出して対応し、プロジェクトが終わったら母集団に戻る。ある規模以下のプロジェクトはまとめて面倒をみるかたちにして、何毛作もできるかたちにしています。ただ漫然とプロジェクトを編成していたときと比べ、専門性を尊重することによって相乗効果が出て、いままで以上に仕事がこなせるのではないかということで、こうしたかたちを志向しています。

当社の業務改革の取り組み

 インフラ整備・情報共有、いま一生懸命取り組んでいるナレッジマネジメントの分野では、1989年からUNIXメールを統一メールとして運用、さらにウェブ化、グループウェアの採用、昨年からナレッジワールドの全社展開、さらに兄弟会社への展開ということを進めてきました。プロセス改革・業務効率化では、97年にプロセス改善委員会を設置して、できるものからどんどんウェブ化し、効率を上げる仕組みづくりに真正面から取り組んできています。
 品質改善では、ISO9000認証取得に全力を挙げてきました。11事業部がすべて取得しましたが、最近ではCMMの水準でなければ話にならないということもありますので、いままた新しい取り組みを始めているところです。

業務プロセス革新

 プロセスフローは、大きく営業プロセス、基幹業務プロセス、支援業務プロセスに分けて挑戦してきました。まず営業プロセスは、お客様との間でいかに情報が円滑に流れ、意思が交流しあうかが大事です。いまはお客様との接点となるコンタクトセンターの仕組みづくりに取りかかっています。One to Oneで、1社1社のお客様をきちっととらえるのが原点ですので、お客様のデータベースが生命線だと考え地道な活動を続けています。また、うちはソフト開発志向型で設立された経緯から、営業力が弱い、営業マンがいなかったという過去がありました。外部コンサルタントの指導を得てカスタマーリレーションシッププロセスマップをつくり、いまそれに則った活動ができるように教育も交えて取り組んでいます。
 基幹業務プロセスは、製造業の生産管理にあたるプロジェクト管理システムが生命線だと考えています。NECグループ全体で使っていますが、ある規模以上のプロジェクトについては、Super Scaleというプロジェクト管理ツールに載せて管理しています。支援業務プロセスは、当社の製品のKAISHA Modeler Proで業務プロセスを分析し、その見直し、改善に取り組んできましたし、いまも進めています。特に軽視しがちな人事、総務などのスタッフ系にもメスを入れ、できるだけウェブシステム化というトライアルをしています。管理面では、プロジェクトの予算管理システム、あるいはCMS(顧客管理システム)を導入してきました。

業務改善の実践

 業務改善はKAISHA Modeler ProシリーズのActiveModelerとActiveFlowを駆使して、現状業務プロセス分析から新業務モデリング、新業務シミュレーションを行い、ワークフロー環境の自動生成、ウェブワークフローの利用、管理というサイクルで進めていきます。
 SE作業は、SEFEツールを駆使して、ワークスタイルの改善を行っています。日常管理用のProcess Naviは、部門内の全プロジェクトを総合的に把握するツールです。リーダーは作業一覧図面で担当者ごとの状況がつかめ、どこに問題があるかがはっきりします。Super Scaleはプロジェクト管理のツールで、その時点時点での進捗率のチェック、最後にはプロジェクトの評価もできるようになっています。
 業務改善に加え、内容面からしっかりやっていかなければいけないということで、いまナレッジマネジメントに力を入れています。ナレッジマネジメントは当社だけではなく、いま兄弟会社等との間に範囲を広げているところです。  さらに、メソッドあるいは仕事のやり方そのもののクオリティを上げていくために、シックスシグマ推進グループによってGB、BBの養成を始めています。シックスシグマを土台に、ISO9000以上にCMMの条件を満たす水準に、そして何とか日本経営品質賞を目指せる水準になれたらという目標を掲げて取り組んでいます。

個人の価値を高める施策

 従来、マネジメント的な感覚のある人はどんどん昇進してモラールが上がりますが、たとえばネットワークにかけては一流の技術屋でも、人扱いがうまくないので事業部長になれなくて元気をなくすようなことが、当社でもありました。いろいろな専門家が必要なのが当社の仕事ですから、矢車型と呼んでいますが、専門性を重視した全方位型の処遇体系、担当からシニアエキスパートまでの資格制度をつくりました。これを始めて、ずいぶんモラールアップにつながっている感じがしますので、これからも推し進め、それぞれの価値を上げるように努力したいと思っています。
 また、事業化の提案制度を設けています。さらにコミュニケーションを図るために、私も全社員に「社長メール」、あるいは「社長ホームページ」、若手との「社長と語ろう会」に時間の許す限り挑戦しています。
 開発の力はあると思っていますが、起業マインドがなかなか出てこないのが当社の悩みです。大学の先生、ベンチャーの方あるいはお客様にご指導いただきながら、何とか新事業を立ち上げるために、各事業部の損益管理対象外の社長ファンド制も設けています。あるいは、人事の公募制も進めております。
 当社ではBPIA研究会の方々のご指導をいただいて、オフィスのデジタル化に挑戦しています。そのなかで、SE現場のフリーアドレスを試みています。フリーアドレスになれば、オフィス情報の整理が必要になりますので、先ほど申し上げたツールを駆使しながら挑戦しております。

おわりに

 価値創造に役立つ道を追求しますというわりに、かなり方法論的なお話になりました。SIとしては、道具のほうから、こうすべきだというものを実現して、効果が出なければ空論だといわれる立場ですので、そのための挑戦をありのままご報告しました。VALWAYという言葉を軸にこれからも頑張っていきたいと思っておりますので、皆様方のいろいろなご指導をよろしくお願いいたします。
[ Contents ]



■ 研究発表会


「完全ペーパーレスオフィス実現のための諸研究」
(株式会社日本能率協会コンサルティング
チーフコンサルタント  高橋 淳氏

研究会の活動経過

 研究会は、当初ペーパーレスオフィスを研究するための会として発足しましたが、イノベーションのコンセプトをより素直に表現するために、途中からタイトルをデジタルオフィスの研究へと名前を変えています。研究会は11回開催しましたが、前段で、あるべき姿、あるいは進め方の理論モデルを研究し、その後、NECソフトさんをパイロットとして、モデルの検証を行いました。

デジタルオフィスの実現イメージ

 デジタルオフィスとは、必要な情報をデジタルネットワークを活用して自由にやりとりする、オフィスの執務環境あるいは情報システムをつくることによって、企業競争力の向上を実現するオフィスです。これが実現しているときには、結果としてペーパーレスになっているものと考えています。
 デジタルオフィスの実現イメージは、一つはコールセンターやEコマースに代表される情報処理工場です。外部との取引のデジタル化が盛んに取り組まれていますが、企業内のプロセスがアナログではデジタル化のメリットが半減しますので、内部の情報流通もデジタル一貫処理されるというのが、オペレーション局面から見たデジタルオフィスの姿です。もう一つは知識労働支援環境を考える中で、知識労働における新しいワークスタイルの確立していこうとするものです。環境面においてコラボレーションをサポートするデジタル環境をつくる。それは同時にヒューマンスキルを最大限に発揮できる個人の多様性によって行われている。そうした条件を満たすチームコラボレーションを推進している状態をデジタルオフィスのもう一つの局面として考えることができます。

デジタル化のメリット

 デジタルオフィスは抜本的な改革として行っていくことが必要になります。そのためにはデジタルオフィスの利点がよく理解される必要があります。デジタルオフィスの利点は、デジタル・オープンネットワークの持ち味をフル活用させることです。従来、紙を媒体としてアナログ処理、あるいは不効率な処理を介在させて情報の流通・加工が行われていたのに対して、オペレーションあるいはワークスタイルにおいてデジタルな一貫処理が行われます。
 PwCCさんではデジタル化によって、年間社員1人当たり1600枚の紙使用量が80枚と劇的に減少することによって、非常に多くのコストがセーブできる。トータルコストでも、社員1人当たり数十万円のセーブができています。こうしたコスト削減効果によって、デジタルオフィスを実現するために必要な投資を担保しつつ、より本質的な経営革新の成果を追求していくのが、デジタルオフィスの推進戦略だと思います。
 知識産業においては、より本質的なワークスタイルの変化におけるメリットが出てくる必要があります。それは個人作業においては武装化、ネットワーク化、グループ作業においては集中化、共有化、即時化されることによって、より成果の上がるワークスタイルに変化するということです。それは情報共有化が必要な作業において大きくメリットが表れ、意思決定や創造の品質が向上し、しかもスピード、直ちにアクションが可能になるというメリットももたらします。
デジタルオフィスの実現ポイント

 デジタルオフィスの実現に向けては、仕事のプロセスとワークスタイルの両面から変革を図っていく必要があります。プロセスは組織や業務プロセス、ワークスタイルは人の問題として考えることができます。これを変えるために情報技術あるいはオフィスのインフラを変えていきますが、これは積み上げで変わるというよりも、その背景にある人事制度、企業文化、あるいは事業環境を踏まえて、改革として行っていくことが必要です。
 実際の進め方としては、最初のステップは改革のビジョンを掲げ、一人ひとりの気持ちの面から改革を図っていく。続いて外的変革要因、ペーパーレスの環境をつくってしまう。紙なしで情報を共有しながら仕事をせざるをえなくなる状況をつくっていく。さらにそれを高度化していくことによって、「どこでもオフィス」という状況をつくっていく。最終的にはビジネスのコアプロセスにおけるイノベーションまで結びつけていく。こうした展開シナリオが好ましいだろうと研究会では議論しています。
 内からの変革と外からの変革を併せて実現していくことが大切で、そのためには経営幹部の改革へのリーダーシップが必須条件です。全社員の共感をつくるビジョンの提示とデジタル化投資の判断も含め、経営幹部のリーダーシップの発揮が、デジタルオフィスを実現するポイントになると考えています。

フリーアドレスのオフィス・レイアウト

 「どこでもオフィス」は、紙の束縛からフリーになっている状態を象徴的に表しています。紙の資料があるところでなければ仕事ができないということは、オフィスで仕事をしなければいけない、自宅や出先では仕事ができないということになります。つまり、デジタルオフィスを端的に表すのが「どこでもオフィス」です。それをオフィスの中のレイアウトに反映させると、どこでも仕事ができる、フリーアドレスのレイアウトになります。
パイロットモデルにおける取り組み
 デジタルオフィスの概念およびその進め方をNECソフトさんに可能な限り取り入れていただき、研究会メンバーと議論しながら、デジタルオフィス化に取り組んでいただきました。  NECソフトさんでは、オフィスのデジタル化を経営の質の改革の一環として位置づけられました。それを実践するうえで、情報システムのインフラ整備、デジタル化による情報共有推進、ナレッジマネジメントへの取り組み、プロセス改革、品質改善を進めながら、これらをより強固なものにする基盤としてオフィスのデジタル化に取り組まれました。  オフィスのデジタル化推進施策としては、ペーパーレスの実践を通じて、デジタル化のメリットを追求していく。そのために環境面の整備として、LANコンセントの設置、プリンタ等の管理状態の改善、フリーアドレスの試行などに総合的に取り組まれました。
 当然、この片側には、経営のイノベーションとして何を目指すかという語りがあり、そのビジョンに基づいて、その実現環境としてデジタルオフィスに取り組まれたというところが、私どもと考えを共通するところです。

モデル事業部による実践例

 モデル事業部で、プロセス面における情報技術の活用、オフィスレイアウトの革新に取り組まれ、肝となるフリーアドレスを実現されました。フリーアドレスは、在籍人数分の机を用意する必要はなく、在室率に応じて机を用意すればいいので、スペースコストの節約という現実的なメリットももたらします。さらに、その周辺にコンセントレーションエリア、コラボレーションエリアをつくり、仕事に合わせて場所を選ぶというアクティビティ・セッティングを実現して、より知識作業に集中できる、より共同作業に集中できる環境をつくることになりました。

まとめ

 従来の日本型の経営モデルが、環境変化の時代にあって、変わらざるをえなくなっています。知的財産、あるいは人を財産として確立し、それを競争力に結びつけ、自社独自のビジョン、戦略を達成していくために、それを強力に推し進める環境としてデジタルオフィスをつくっていく。その意味で革新戦略の礎としてデジタルオフィスを位置づけるのが大事ではないかと思います。
[ Contents ]



「オフィスワーク生産性ベンチマーキング指標開発」
  日本タイムシェア株式会社 ITソリューション事業部コンサルティンググループ
   主任コンサルタント  山口 博氏

  株式会社荏原製作所 情報・通信・制御事業本部
   企画調査部長     橋本 章氏


 (山口) 研究会の活動経過とその成果である「オフィスワークベンチマーキング調査シート」の説明をさせていただきます。


活動経過

研究会は11回、ほぼ月1回のペースで行ってきました。 第1回研究会:ナビゲーターのPwCCの松川さん、小野田さんから、オフィスの生産性(アウトプットは総情報量、インプットは作業時間)の仮説を提示していただきました。参加者による議論では、オフィスワークの生産性を測定する。量だけではなく質も測定し、それも金額ベースの指標としなければいけない。部門によってはスピードと創造性を加味する必要がある。そういうことから、研究会の名称も、「オフィス生産性」から「オフィスワーク生産性」と改称しました。  研究会は宿題を持ち帰り、それに取り組み、次回プレゼンするかたちで進めてきましたが、第1回の宿題は「仮説の定義をもとに自分のある1日の生産性を測定する」でした。
第2回研究会:自分の生産性の測定結果について、7名の方から発表がありました。生産性評価において、質・精度を数値化できる方法はないか、各メンバーがそれぞれ持ち寄りました。また、メンバーの一人である明豊の須佐さんから、ファシリティマネジメントの現場で利用されている調査シートを提示していただきました。そこで宿題は「調査シートによる生産性の測定(3日分)と各種計測指標の私案」でした。
第3回研究会:前回の宿題の結果について、5名の方から発表がありました。品質の面からの生産性評価は難しい。その作業の結果を利用するユーザの満足度、経営品質で評価しないといけないのではないか。また、アウトプットを情報量で把握しきれない業務がある。たとえば作業指示、指導・助言、品質管理、情報検索、会議などは情報量で把握できないということで、仮説に疑問が投げかけられました。そこで新しい指標の提案として、財務データをもとにマネジメント利益率、オフィスワーク利益率という考え方の提案がありました。
第4回研究会:NECソフトの貞金さんから、「交通費支払システム」と「深夜・休日勤務届」の事例発表をいただきました。
第5回研究会:ナビゲーターの小野田さんから、いままでの討議のまとめの発表、また「オフィスインフラコストをとらえる各種指標の測定結果」について、3名の方から発表がありました。議論では、ワーキンググループの調査範囲を固めよう。ホワイトカラーの生産性指標と生産性・創造性を高める三つの要素、オフィスワークの構成と経営資源の最適配分、原価計算例としてはABCがあるという話がありました。ここで、ベンチマーキング指標の明確な定義が必要であることを確認しました。
第6回発表会:メンバーであるキヤノンの澤合さんから、「キヤノン株式会社で取り組んでいるベンチマーキング指標について」、事例発表をいただきました。一つの例は、スペース区分の定義として、有効スペースと非有効スペースに分け、有効スペースを専有スペースと共通スペースに分け、専有スペースを非生産部門と生産部門に分けて、それぞれの中でのスペースコストを毎年定点測定して、その経年変化をとらえているということです。
 半年が過ぎて、ここで短期的課題として、オフィスコストの定義とそれを財務会計上の費目との関係で指標化しようということが確認されました。
第7回〜第11回研究会:第7回研究会以降は、ベンチマーキングシートの指標をどうするかを中心に作業を進めてきました。その中では、創造性が要求される経営企画部の生産性はどう測るかという議論もしました。第9回では、アークインターアソシエイツの野口さん、金融機関のディーリングルームの設計をされている方からお話があり、IT活用の効果が確認されました。第10回では、第一次のワークシートに従って、施設関連の費用および経費の報告をする予定でしたが、2名しか提出できない。データを収集するのが大変だという声が多く出され、指標を考え直す必要があるということになりました。
 最終的に、まだ改善の余地はあるかと思いますが、調査シートが素案としてまとめあがりました。次年度は、調査シートをもとに、参加企業の皆さんで測定して、事例研究に進もうということになっています。


活動経過

 (橋本)オフィスワークの生産性をどういう指標でとらえるのか、非常に難しいと実感しています。ただ、いろいろ議論してきて、その成果を取り込んだかたちで、調査シートの叩き台をつくりました。オフィスワークは最終的には情報量だから情報量をとらえない、時間という要素がほしい、定型的な業務とクリエイティブな業務は分けて考えなければいけない、いろいろな議論がありました。調査シートとしては、どの企業にお願いしても出していただけるところに絞り込まなければいけないので、それらを列挙してみました。
 ただ、オフィスワークは最終的には業績と相関関係があるかどうかをとらえたいと思っていますので、調査シートにも売上高、付加価値、利益などを挙げています。要はオフィスワークの生産性を測る指標のうち、どれが最も業績と指標とリンクする指標かをとらえたいということが、今回の調査のねらいとなっています。
 今回、オフィスワークの生産性指標として、大きく3点について伺おうと思っています。一つはオフィスインフラコストで、これはコストという面でとらえよう。二つ目はスピードで、事務業務のスピードをとらえたい。三つ目はスタッフの支援、オフィスワークの場合は間接スタッフの支援が鍵になるので、支援力がどうなっているかを調査したいと考えています。
 一つ目のオフィスインフラコストは、PwCCさんではIT投資、スペース、紙、通信費で比較されていますが、それとだいたい同じで、プラス廃棄コストという構成で見たいと思っています。情報インフラコストは、広い意味の情報インフラ、電話・ファックス、郵便、PC、システム維持コストなどです。スペースコストは、借りていれば賃借料、自社ビルであれば固定資産の償却費、税金、維持費用などが入ります。紙コストは紙にまつわるコスト、これはファイル、筆記具などを含めた文具というとらえ方でないと難しいということはあります。それと廃棄コストをとらえたいと思っています。
 これは実際にやってみると、なかなか出せないということはありますが、ぜひご協力いただきたいと思います。業態、業種で総額では難しいので、社員1人あたりでどうなっているのか。あと付随して、社員1人あたりでPC何台、ファックス何台などの情報武装度もお伺いしたいと考えています。
 二つ目の事務、業務のスピードは、どこの会社にもある五つの業務、決算業務、株主総会資料取りまとめ業務、給与明細書作成業務、名刺作成業務、経費精算業務について、何人の方が何日かけてやられているかをつかみたいと思っています。またどうやってやられているのか、方法もお伺いしたいと考えています。三つ目のスタッフの支援面は、間接スタッフの支援力です。
 生産性の指標を三つの観点でとらえ、これが業績とどうリンクしているのか、どの指標がリンクしているのかという分析をするために、3年間の業績を出していただきたいと考えています。  デジタルオフィス研究会は8合目か9合目にいっている感じですが、われわれはまだ2、3合目でやることがいっぱいありますので、興味のある方はぜひご参加いただければと思います。
[ Contents ]



「E-ビジネスモデル研究会」
株式会社日本能率協会コンサルティング
日本ヒューレット・パッカード株式会社 経営改善推進部
    インフラ教育担当マネジャー  菅井 康二氏

設立の背景

 1990年代初頭、米国では産業構造の大きな変革が起こりましたが、3年間で雇用が純減から純増に転じています。日本では、99年を基準として5年間でどんな推移をするかというと、米国と同じような傾向はたどるようですが、スパンが長い、その分だけ痛みも長い期間続くのではないかと推測されています。
 大きく見れば、われわれはいま連続的変化ではなく、不連続な変化の中にいます。連続的変化の時代には効率化によって業績を伸ばすことができましたが、そうした手法では次の波に乗れない。新たな波に乗るためには、技術、プロセス、人という三つの要素の革新が必要になります。
 IT革命によっていま起こっているのか、E-ビジネスモデル研究会ではなぜ中小企業に焦点をあてるのかといえば、技術の面では、中小企業は小規模からのスタートが可能です。プロセスに関しては大げさな変革は必要ない、足し算の世界です。人の面では、比較的容易に準備ができる、フットワーク軽く動ける。あるいは大企業の代行業、受け皿になれるのではないか。このあたりにビジネスチャンスが求められないかと考えました。  これまでITベンダと中小企業とのコミュニケーションの場がありませんでしたが、E-ビジネスモデル研究会はそのコミュニケーションの場にしていきたいと思います。

研究会の目的

 基本フレームとしては、ターゲットのユーザ・顧客、それに対して中小企業がおられ、ITベンダ・ネットベンチャーがいますが、E-ビジネスモデル研究会はこれらのネットを組んでいこうと考えています。特に中小企業の場合、業界をまたがった人的、物的ネットワークはなかなかないのですが、業界のまとめ役の方が串刺し的にビジネスモデル、ビジネスチャンスを探っていく。それに対してITベンダが技術的な支援をさせていただければと考えています。
 研究会の目的としては、いろいろな業種・企業から、さまざまなアイデアを持った人が集まり、そのことをネットワーク技術と結びつけ、参加される専門家の協力を得ることによって新しいビジネスモデルを構築し実践すること、としています。アウトプット、いままでと違った新しい価値の創造とその活動を通して新しい方法論を確立していきたい。新たな社会基盤創出と日本社会の発展に貢献したいと考えています。
 いまいろいろな方が集まっていますが、研究会に集まっていただきたいのは、世の中を変えられるのだと信じている人、将来に強く危機感を感じている人、自分の実業(Traditional)に自信のある人。ここがわれわれの特徴で、ネットに置き換えられないものは必ずあるはずで、実業をしっかりやっている方にご参加いただきたい。ここでドットコム企業をどんどんつくっていくことは考えておりません。あと、画期的アイデアはあるが、現在の体制での展開に限界を感じている人、ボーダレスに動ける人、皆の知恵と力を合わせれば何だってできると信じている人、要するに起業家精神にあふれた人に集まっていただきたいということです。
 研究会のキーワードは変加、Tradition(実業)にeを加えて変わろうということです。

研究会の進め方

 具体的なケースをもとに議論をスタートする。産業を超えた再構築とは何かを明確にしていきたい。研究を進めていくためのプロセスとしては、対象顧客を決める。現実的なビジネスにどう転換していくか。それに対するeの応用の可能性を検討していきたい。さらにビッグピクチャやビジョンを議論し、ゴールを共有する。そして現実(プロセス、スピード感、資源)の認識、現実からゴールに向かって進むための戦略の検討、最終的にはビジネスプランの作成、ビジネスプランのレビューと参画者の募集、研究会としての支援はここまでにしたいと考えています。ビジネスプランの実施後に、活動結果の報告とレビュー、成功と失敗の中から方法論を導いていきたいと考えています。

活動実績

 5月26日、国際文化会館で研究会を発足しました。当初80名ぐらいを見込んでいましたが、120名の参加がありました。
 第1回では、ビジョン、今後の活動方法の確認を行いましたが、日本起業家新聞にも来ていただいて、プロモーションもしていただきました。
 第2回では、アークインターアソシエイツの野口さんから、最先端のコンピュータグラフィックスを駆使した、ファシリティマネジメント、金融のディーリングオフィスの設計施工のデモを見せていただきました。ここで、新ビジネスモデル手法VDS(Value delivery system)に則ったかたちで皆様のビジネスを書いてくださいという宿題を出しました。
 第3回では、その宿題をお持ちいただいた野口さんのビジネスのVDSモデルの発表と検討を行いました。まだ宿題のバックログが残っていますので、次の研究会でも続けていきたいと考えています。

VDS(Value delivery system)

 VDSは最高の顧客体験を提供するためのプロセス構築をするツールです。顧客体験というのは、カスタマーライフサイクルというモデルに基づいています。お客様がサービスや製品を提供するベンダとコンタクトを持つポイントは、カスタマーライフサイクルというかたちでいろいろなポイントがあります。製品に対する興味から始まって、選択、発注、購入、設置、学習、使用、支援、最後に廃棄あるいはアップグレード、こうしたライフサイクルが回ります。各接点で顧客がベンダと接し、そこでの顧客の経験がベンダに対する印象、すなわち評価につながっていくと考えています。この各接点で、常に顧客の期待を上回るサービスや製品を提供していくことが、常に競合に勝つかたちになります。
 そこで、お客様に最終製品、サービスとしてお届けするために、どんなプロセスになっているのかを表したのがVDSのチャートです。上から興味、選択、発注、設置、学習、使用、支援、廃棄にお客様との接点があり、お客様は左側に書かれます。お客様も、企業を相手にした場合は、製品を選ぶ方、使う方、さらに使う方のお客様となります。この立場によって、興味の対象、価値の感じ方はかなり変わります。右側はベンダで、テクノロジーベースは何か、開発する人は誰か、準備する人は誰か、伝える人は誰か、これを明確に記述していきます。これを明確にすることによって、サードパーティとどこでアライアンスが組めるのかが明確になります。さらに、このプロセスを分析することによって、コスト分析の土台になります。

研究会の存在意義

 E-ビジネスモデル研究会のイメージは、BPIAの港の酒場で、いろいろな人が集って夢を語り合う場、あそこに行くと面白いというものです。この研究会を開いてみて、一芸に秀でている方がたくさんいらっしゃって、目からウロコの状態がいっぱいです。今年度も月1回ぐらいのペースで開催していきたいと思いますので、ご興味のある方はぜひご参加いただきたいと思います。
[ Contents ]



e-ビジネス時代のビジネスモデル評価法開発
株式会社アイティー
企画営業部 取締役部長  青木 秋徳氏

 8月に説明会を行い、9月から「e-ビジネス時代のビジネスモデル評価法開発」研究会を始めています。

研究会の目的

 いままで企業がシステムを導入するときに、投資対効果の測定がうまくできず、周りで導入しているので自分のところも導入しようというかたちが多かったように思います。私どもSIベンダとしても、お客様とお話しするときに、まずどういったことがやりたいのかというところからスタートすることが多く、間を取り持つ接点がきちんとしていないという状況があったように思います。そこで、内容をきちんと評価できる方法をつくるべきだろうというところから、今回の研究会が発足しています。

研究会の進め方

 具体的な方法としては、当研究会の参加企業で持っているさまざまな事例、開発事例あるいは管理事例を数個ずつ持ち寄り、それを研究の対象としていこうと考えています。研究の対象としていただいた事例を研究会で発表していただく。それをもとに、参加者同士でどういうかたち考えれば投資対効果が評価できるかというディスカッションをしていく。内容的には、ABC/ABM分析をしていらっしゃるPwCCさんを含め、皆さんの意見をうまくまとめていくことによって、それを超える評価法がいいだろうと思っています。
 事例別の分析方法を確立し、これがどんどんたまっていくと、分析結果のDB化ができるのではないか。DB化されたものを再度研究の材料として使わせていただくことによって、総合的な分析方法の確立ができるのではないかと考えています。
 事例発表をしていただくということは、企業秘密的な部分も少しあるかと思いますので、それをプロテクトするために機密保持契約的な参加要項をつくらせていただいています。参加要項に同意いただいた企業に参加していただいて、より多くの事例を集めることによって、なるべく精度の高い分析方法を確立していきたいと考えています。
 研究会を進めていって、結果が出てきた段階でプレス発表を考えています。また事例集を集めた本の出版ができればいいなと考えています。投資対効果を分析する仕組みがもしできれば、ASPでのビジネス展開も考えていければいいなと考えています。
 いまのところ、2回の研究会を行っていますが、まだ発散の状況で、この先どういうかたちでまとめていくか、いま考えているところです。事例を多く集めるということも含め、皆様方に奮って参加していただければと考えています。
[ Contents ]