(山口) 研究会の活動経過とその成果である「オフィスワークベンチマーキング調査シート」の説明をさせていただきます。
活動経過
研究会は11回、ほぼ月1回のペースで行ってきました。
第1回研究会:ナビゲーターのPwCCの松川さん、小野田さんから、オフィスの生産性(アウトプットは総情報量、インプットは作業時間)の仮説を提示していただきました。参加者による議論では、オフィスワークの生産性を測定する。量だけではなく質も測定し、それも金額ベースの指標としなければいけない。部門によってはスピードと創造性を加味する必要がある。そういうことから、研究会の名称も、「オフィス生産性」から「オフィスワーク生産性」と改称しました。
研究会は宿題を持ち帰り、それに取り組み、次回プレゼンするかたちで進めてきましたが、第1回の宿題は「仮説の定義をもとに自分のある1日の生産性を測定する」でした。
第2回研究会:自分の生産性の測定結果について、7名の方から発表がありました。生産性評価において、質・精度を数値化できる方法はないか、各メンバーがそれぞれ持ち寄りました。また、メンバーの一人である明豊の須佐さんから、ファシリティマネジメントの現場で利用されている調査シートを提示していただきました。そこで宿題は「調査シートによる生産性の測定(3日分)と各種計測指標の私案」でした。
第3回研究会:前回の宿題の結果について、5名の方から発表がありました。品質の面からの生産性評価は難しい。その作業の結果を利用するユーザの満足度、経営品質で評価しないといけないのではないか。また、アウトプットを情報量で把握しきれない業務がある。たとえば作業指示、指導・助言、品質管理、情報検索、会議などは情報量で把握できないということで、仮説に疑問が投げかけられました。そこで新しい指標の提案として、財務データをもとにマネジメント利益率、オフィスワーク利益率という考え方の提案がありました。
第4回研究会:NECソフトの貞金さんから、「交通費支払システム」と「深夜・休日勤務届」の事例発表をいただきました。
第5回研究会:ナビゲーターの小野田さんから、いままでの討議のまとめの発表、また「オフィスインフラコストをとらえる各種指標の測定結果」について、3名の方から発表がありました。議論では、ワーキンググループの調査範囲を固めよう。ホワイトカラーの生産性指標と生産性・創造性を高める三つの要素、オフィスワークの構成と経営資源の最適配分、原価計算例としてはABCがあるという話がありました。ここで、ベンチマーキング指標の明確な定義が必要であることを確認しました。
第6回発表会:メンバーであるキヤノンの澤合さんから、「キヤノン株式会社で取り組んでいるベンチマーキング指標について」、事例発表をいただきました。一つの例は、スペース区分の定義として、有効スペースと非有効スペースに分け、有効スペースを専有スペースと共通スペースに分け、専有スペースを非生産部門と生産部門に分けて、それぞれの中でのスペースコストを毎年定点測定して、その経年変化をとらえているということです。
半年が過ぎて、ここで短期的課題として、オフィスコストの定義とそれを財務会計上の費目との関係で指標化しようということが確認されました。
第7回〜第11回研究会:第7回研究会以降は、ベンチマーキングシートの指標をどうするかを中心に作業を進めてきました。その中では、創造性が要求される経営企画部の生産性はどう測るかという議論もしました。第9回では、アークインターアソシエイツの野口さん、金融機関のディーリングルームの設計をされている方からお話があり、IT活用の効果が確認されました。第10回では、第一次のワークシートに従って、施設関連の費用および経費の報告をする予定でしたが、2名しか提出できない。データを収集するのが大変だという声が多く出され、指標を考え直す必要があるということになりました。
最終的に、まだ改善の余地はあるかと思いますが、調査シートが素案としてまとめあがりました。次年度は、調査シートをもとに、参加企業の皆さんで測定して、事例研究に進もうということになっています。
活動経過
(橋本)オフィスワークの生産性をどういう指標でとらえるのか、非常に難しいと実感しています。ただ、いろいろ議論してきて、その成果を取り込んだかたちで、調査シートの叩き台をつくりました。オフィスワークは最終的には情報量だから情報量をとらえない、時間という要素がほしい、定型的な業務とクリエイティブな業務は分けて考えなければいけない、いろいろな議論がありました。調査シートとしては、どの企業にお願いしても出していただけるところに絞り込まなければいけないので、それらを列挙してみました。
ただ、オフィスワークは最終的には業績と相関関係があるかどうかをとらえたいと思っていますので、調査シートにも売上高、付加価値、利益などを挙げています。要はオフィスワークの生産性を測る指標のうち、どれが最も業績と指標とリンクする指標かをとらえたいということが、今回の調査のねらいとなっています。
今回、オフィスワークの生産性指標として、大きく3点について伺おうと思っています。一つはオフィスインフラコストで、これはコストという面でとらえよう。二つ目はスピードで、事務業務のスピードをとらえたい。三つ目はスタッフの支援、オフィスワークの場合は間接スタッフの支援が鍵になるので、支援力がどうなっているかを調査したいと考えています。
一つ目のオフィスインフラコストは、PwCCさんではIT投資、スペース、紙、通信費で比較されていますが、それとだいたい同じで、プラス廃棄コストという構成で見たいと思っています。情報インフラコストは、広い意味の情報インフラ、電話・ファックス、郵便、PC、システム維持コストなどです。スペースコストは、借りていれば賃借料、自社ビルであれば固定資産の償却費、税金、維持費用などが入ります。紙コストは紙にまつわるコスト、これはファイル、筆記具などを含めた文具というとらえ方でないと難しいということはあります。それと廃棄コストをとらえたいと思っています。
これは実際にやってみると、なかなか出せないということはありますが、ぜひご協力いただきたいと思います。業態、業種で総額では難しいので、社員1人あたりでどうなっているのか。あと付随して、社員1人あたりでPC何台、ファックス何台などの情報武装度もお伺いしたいと考えています。
二つ目の事務、業務のスピードは、どこの会社にもある五つの業務、決算業務、株主総会資料取りまとめ業務、給与明細書作成業務、名刺作成業務、経費精算業務について、何人の方が何日かけてやられているかをつかみたいと思っています。またどうやってやられているのか、方法もお伺いしたいと考えています。三つ目のスタッフの支援面は、間接スタッフの支援力です。
生産性の指標を三つの観点でとらえ、これが業績とどうリンクしているのか、どの指標がリンクしているのかという分析をするために、3年間の業績を出していただきたいと考えています。
デジタルオフィス研究会は8合目か9合目にいっている感じですが、われわれはまだ2、3合目でやることがいっぱいありますので、興味のある方はぜひご参加いただければと思います。